嶽本 野ばら
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エミリー エミリー

嶽本 野ばら
集英社文庫 2005

私は、今の文学をほとんど読まないのですが、なんとなく買ってみました、「エミリー」。嶽本野ばらという人に興味を持っていたのと、文庫ということもあって。この本には表題作「エミリー」のほかに短編2編「レディメイド」と「コルセット」が収録されています。
私はこの3編の中でも特に「コルセット」を気に入りました。私にとってはファンタジーです。お恥ずかしい話ですが、私にもこんな「王子様」が現れないかしら、そういうレベルで胸ときめかせてしまいました。そして、ジェーンバーキン。ヴィヴィアンにもケイタ・マルヤマにも私は親しんでいないけれど、バーキンは格別です。この小説のテーマソングともいえる「コワ」が、より一層この作品を私にとってのファンタジーへと押し上げていくのでした。
そして「エミリー」。ロリータ、中学校、イジメ・・・この舞台に縁遠さを感じながらも一気に読めました。最後に引用されるランボーの詩「永遠」がにくいなあ、と思った。「気狂いピエロ」のラストも思い出してしまうけれど。
嶽本野ばらの文章は好きです。どこか古風で言葉を丁寧に配置していると思います。
051012

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